真鯛を釣り、ヒーローになった友の話

 

昨年の冬頃から、友人にずっと言われていたことがありました。

「娘が真鯛を捌いてみたいらしいから、釣れるようになったら教えてくれ!」

 

とはいえ、冬の間はなかなか思うような釣果情報も出てきません。 せっかく娘さんが楽しみにしているなら、どうせ釣るなら立派な真鯛を持ち帰らせてあげたい。 そう思いながら冬を越し、春。 ようやく乗っ込み真鯛の釣果が聞こえ始めました。 まずは本当に釣れるのか、自分一人で偵察へ行くことに。 パックラフトと釣り道具を準備し、気合いを入れて海へ浮かびました。 この時はまだ、翌週にあんなドラマが待っているとは思っていませんでした。

 

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出艇して最初に向かったのは、一番近くにある根周りのポイント。 春の真鯛といえば、やはりタイラバです。

魚探には特にこれといった反応は出ていませんでしたが、とりあえず底まで落とし、一定の速度で巻き上げてみます。 すると、巻き始めてすぐ。 ゴン、ゴン、ゴンッ! かなり強めのアタリが出ました。

 

「なんだろう。根魚かな?」

 

そう思いながらフッキングし、ファイト開始。 しかし、ロッドをゴンゴンと叩く独特の引き方は、どうも真鯛っぽい?

 


そんなことを考えていると、途中から急に引きが強くなりました。 ロッドを通して伝わってくる重量感。 これは、そこそこデカい。 少なくとも50cmは超えていそうです。

無理に巻かず、慎重にやり取りを続けます。 そして海面に浮かび上がってきたのは、狙いどおりの真鯛。 サイズは55cm。 十分すぎるほど立派な真鯛でした!!

 

 

まだ釣りを始めて5分ほどです。 偵察に来たはずが、開始早々に本日の目的を達成してしまいました。

「これは友人を連れてきてもいけるな」 そう思ったものの、その後は小さな魚ばかり。 最初の一匹で運を使い切ったような展開になり、その日は撤収しました。

 

帰って友人に話すと、返事は早い。 「じゃあ、すぐ行こう」 こうして次の週末、二人乗りのパックラフトで真鯛を狙うことになりました。 当日、海へ向かう車の中でも、友人のやる気は十分でした。 どうやら家を出る前、娘さんと奥さんにこう宣言してきたらしいのです。

 

「今日は60cmオーバーのでっけえ真鯛を持って帰る」

 

随分と大きく出たものです。 まだ海にも浮かんでいないのに、すでに持ち帰る魚のサイズまで決まっていますw

海辺へ到着し、パックラフトや釣り道具の準備を進めている間も、 「待ってろよ、大鯛!」 などと海へ向かって叫んでいました。 大鯛側も、まさか岸から名指しで呼ばれるとは思っていなかったでしょう。

ともかく準備を整え、いざ出艇。 まずは、前回自分が55cmの真鯛を釣ったポイントから流してみます。

 

 

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一流し目。 反応なし。 元の位置へ戻って、二流し目。 反応なし。 また戻って、三流し目。 

やはり反応なし。 前回は開始5分で釣れた場所なのに、この日は何も起こりません。

 

仕方がないので、魚探を頼りに別のポイントへ移動します。

ベイトの反応は結構あります。 根のある場所も見つかります。

いかにも何か釣れそうな雰囲気です。 ところが、タイラバやルアーを落としても釣れてくるのは20cm前後の根魚ばかり。

一匹目はまだうれしい。 二匹目も、まあ悪くない。 しかし、同じようなサイズが何匹も続くと、さすがに見慣れてきます。

 


友人が家族に宣言したのは「60cmオーバーの真鯛」です。 20cmの根魚を何匹持ち帰っても、宣言の穴は埋まりません。

この日は昼頃から風が強くなる予報だったため、タイムリミットは12時前後。 気づけば時刻は10時半。 残り時間は、あとわずかです。

二人とも口には出しませんでしたが、心の中では同じことを考えていたと思います。 「今日は、もう無理かもしれない」 それでも、わずかな可能性に賭けて、お互いを鼓舞しながら釣りを続けました。

 

時刻は11時半。 予報どおり少しずつ風が強くなり、穏やかだった海面が波立ち始めました。 もう安全に釣りができる時間も長くありません。

しかし、自分の経験上、釣り人にとって釣りやすい穏やかな海より、少し荒れて釣りづらくなった時の方が魚の反応が良くなることがあります。 そして今は、まさに少しだけ釣りづらくなってきたタイミング。 「今なら、何か釣れる気がする」 そう思い、友人に声をかけました。 「最後に、俺が前回真鯛を釣った場所へもう一度行こう」 さらに冗談半分で、こう続けました。 「このタイミングで真鯛を釣ったら、ヒーローだぜ?」 朝一番に攻めたポイントへ戻り、もう一度パックラフトを流します。

 

一流し目。 反応なし。

二流し目。 やはりダメか。 そう思い始めた、その時でした。

 

目の前で友人が突然、 「おおおおお!!!!!」 と唸り始めました。

 

 

見ると、ロッドの動きが明らかにおかしい。 いや、おかしいというより、どう見ても真鯛です。 魚が首を振るたび、ロッドがゴンゴンと叩かれています。 しかも、使っているSLJロッドがバット部分から大きく曲がっていました。

「これ、デカいぞ!」

「絶対に真鯛だ!」

「マジで60cm超えてるんじゃないか!?」

さっきまで諦めかけていた二人のテンションが、一瞬で最高潮まで跳ね上がります!!

ただ、ここでバラしたらすべてが終わりです。

「絶対バラすなよ!」
「時間をかけていいから、慎重に!」

自分は後ろから、ロッドの角度やリールを巻くタイミングを伝えます。

友人も焦る気持ちを抑え、魚の引きに耐えながら少しずつ距離を縮めていきます。

やがて、水中から赤い魚体が見えました。 デカい!想像していたより、明らかにデカい!!

最後まで慎重に誘導し、無事にランディング成功。 ネットへ入った瞬間、二人とも一気に緊張から解放されました。

そして、いい歳をしたおっさん二人が、海の上で全力のハイタッチ。

 


パックラフトの上で、釣り上げた真鯛のサイズを測ります。結果は、65cm。 本当に60cmを超えていました。

 

「宣言どおりじゃん!」

「というか、マジでヒーローじゃん!」

 

朝、娘さんと奥さんに宣言してきた60cmオーバーの真鯛。

それをタイムリミット直前、最後に入り直したポイントで、本当に釣り上げたのです。出来すぎています。もし漫画や映画なら、少し都合よく作りすぎだと言われそうな展開です。しかし、海ではたまに本当にこういうことが起こります。

一日中釣れず、もうダメだと思った最後の一流し。そこで突然、今日一番どころか、思い出に残る一匹が現れる。なかなか起きないからこそ、起きた時の興奮は忘れられません。だから、釣りはやめられないんですよね♪

今回の真鯛は、ただ大きな魚が釣れたというだけではありません。娘さんに真鯛を捌かせてあげたいという話から始まり、友人が家族に宣言したサイズを本当に釣り上げました。しかも、諦めかけた最後の最後に。釣った本人はもちろん、その場にいた自分にとっても忘れられない一匹です。

 

パックラフトがあれば、岸からでは届かないポイントへ、自分たちの力で向かうことができます。大きな船ほど準備も大げさではなく、友人や家族と同じ艇に乗りながら、魚を探して海を進めます。もちろん、安全への準備や海況の判断は欠かせません。それでも、しっかり準備をした先には、今回のようなドラマが待っているかもしれません。

釣りを愛する皆さんにも、ぜひパックラフトを手に入れて、お子さんや奥さん、恋人、友人と一緒に海へ出てもらいたいです。

一人で釣った魚もうれしい。 でも、誰かと一緒に喜んだ魚は、もっと記憶に残ります。

今以上に毎週、海が恋しくなる。 これは約束します。

 

  
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ぜひお求め願えれば幸いです♪

 

ではまた。