パックラフトで沖へ出たら本気で死ぬかと思った話

 

パックラフトで釣りをしていると、海況にはかなり気を使います。
特に船体の小さいパックラフトでは、少しの風や波でも大きな影響を受けるため、出艇前の予報確認は欠かせません。この日も、当然ながら天気や海況を確認してから沖へ出ました。

予報では風速1m未満、波高は0.5m。 ほとんど凪といっていいほど穏やかな予報でした。

実際、出艇した時の海も落ち着いており、特に危険を感じるような状況ではありませんでした。

 

しかし、沖へ出てから3時間ほど。何の前触れもなく、突然海の様子が変わりました。 体感で3mほどある大きなうねりが、非常に短い間隔で次々と押し寄せてきたのです。 今まで経験した中で、間違いなく一番「死ぬかもしれない」と思った出来事でした。

 

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最初は、たまたま大きなうねりが一度入ってきただけだと思いました。

しかし、一つ目を越えた直後、すぐに次のうねりが迫ってきます。それを越えても、また次。普段見かけるような、ゆっくりと間隔を空けて入ってくるうねりではありません。

パックラフトが大きく持ち上げられ、下ったと思った瞬間には、もう次の壁が目の前に現れるような状態でした。体感で2〜3mほどのうねりを上下しています。

 

「これは戻らないとまずい」 そう思い、すぐに釣りをやめて岸へ戻ることにしました。

 


沖にいる時点でも、十分に怖さを感じる大きさでした。しかし、本当に危険だったのは岸へ近づいてからです。

沖では大きく上下するうねりだったものが、水深の浅い場所へ入るにつれて一気に立ち上がり、白波を伴って崩れ始めます。
出艇した時には穏やかだった浜辺が、とんでもないビッグウェーブに変わっていたのです。 

 

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次々と大きな波が立ち上がり、岸へ向かって崩れていきます。 この状態で元の出艇場所へ戻ろうとするのは危険です。 少しでもパックラフトが波に対して横を向けば、そのままひっくり返ってもおかしくありません。

そこで、元の出艇場所へ戻ることは諦めました。 向かったのは、海が荒れた場合の避難場所として事前に確認していた堤防の裏側です。

出艇する前から、もし海況が急変した場合は、波を避けられる堤防裏へ逃げることを想定していました。

波が崩れるタイミングを見計らいながら、パックラフトを堤防側へ向けました。

 


大きな波が崩れた後のタイミングを狙い、堤防の裏へ向かいました。しかし、間隔が短すぎるため、一本やり過ごしても安心できません。後ろを確認すると、また大きな波が迫っていました。「 逃げ切れない!」そう思った次の瞬間、パックラフトの後方が一気に持ち上げられました。

艇ごと波に乗せられ、そのままサーフィンのような状態で前へ押し出されます。艇首が下を向き、少しでもバランスを崩せば、前から波へ突っ込むか、横を向いて転覆してもおかしくない状態でした。パドルを握りながら、何とか艇を波に対して真っすぐに保とうと必死でした。波を受けた時、パックラフトが横を向けば転覆する危険が一気に高まります。

横から波を受けて転覆する経験をダウンリバーで何度もしています。そしてそれを回避する術も身につけていました。この時も、波に押されながら必死にパドルを操作し、艇の向きをコントロール。 実際には、ほんの数秒の出来事だったのかもしれません。 それでも、その時はものすごく長く感じました。

 

「このままひっくり返ったらまずい」 頭の中にあったのは、それだけです。

これまでにも海で怖い思いをしたことはあります。

しかし、あれほど本気で死ぬかもしれないと思ったのは、この時が初めてでした。

 

 

大きな波に押されながらも、何とか艇を横向きにさせず、堤防の裏へ入ることができました。堤防の裏とはいえ、完全に波がなくなったわけではありません。最後まで油断はできないため、引き続き波のタイミングを確認しながら進みました。そして、そのまま堤防裏の砂浜へ向かいます。

着岸した場所は、元の出艇場所から見ると対岸側にあたる場所でした。最後まで波の動きを確認しながら進み、パックラフトが砂浜へ乗り上げた瞬間、ようやく助かったと思いました。転覆することもなく、海へ投げ出されることもなく、自分も道具も無事でした。

陸へ上がってから改めて海を見ると、よくあの状態から戻ってこられたと思います。もちろん、想定を大きく超える状況だったため、運に助けられた部分もあったと思います。ただ、すべてが偶然だったわけではありません。海が荒れた場合にどこへ避難するのかを事前に確認していたこと。緊急時の動きをあらかじめイメージしていたこと。そして、波を受けても艇を横向きにさせないよう、パドリングで向きをコントロールする練習をしていたこと。

そうした事前の準備や練習があったからこそ、あの状況でも堤防裏へ向かい、無事に着岸することができたのだと思います。

 

 

命の危険から離れ、少し落ち着いたところで、次の問題に気づきました。

車がある出艇場所までの距離は、約5km。これがカヤックや2馬力ボートだったら、運んで戻るにはあまりにも非現実的な距離です。浜辺に置いて車を回収するしかありませんが、その間に盗難に遭う話もよく聞きます。

しかし、そこは軽くて持ち運びやすいパックラフト。艇の空気を抜いて素早くたたみ、バックパックに機材をまとめ、トボトボと車を目指しました。

無事に着岸できた安心感はありましたが、少し前まで本気で死ぬかもしれないと思っていた直後です。体は無事でも、緊張と恐怖はまだ残ったままでした。砂浜に足を取られながら、遠くにある車へ向かって歩き続けます。

荷物は軽い。 でも、心は重い。

海の上でひっくり返っていたら、車までの距離を気にしている場合ではありませんでした。

無事に帰れたからこそ言えることですが、あんな経験は二度としたくありません。本当に、気をつけようと思いました。

 

 

この日の予報は、風速1m未満、波高0.5m。出艇した時も、海は穏やかでした。それでも、約3時間後には体感3mほどのうねりが、何の前触れもなく押し寄せてきました。

予報を確認していても、想定外は起こります。だからこそ、海へ出る前に「荒れたらどこへ逃げるか」「元の場所へ戻れない時はどこへ上がるか」まで考えておくことが大切です。 そして、波の中で艇をコントロールする技術は、危険な状況になる前に身につけておく。

あの時、事前に堤防裏を確認し、波に対して艇を横向きにしない技術を身につけていなければ、無事に帰れなかったかもしれません。釣果は、また次に取り返せます。でも、命に次はありません。 海へ出た日は、必ず無事に帰ってください。

 

 

この記事に辿り着いた方は、これからパックラフトフィッシング、またはそれ同様の小型ボートでの釣りを考えている方だと思います。
これから始めようとしている方にとって、出鼻を挫くような内容かもしれません。しかし危ないからやめようと思ってしまうのはあまりに勿体無いと思うほどに、パックラフトフィッシングが人生を豊かにしてくれているのも事実です。

大切なことは、徹底して準備を怠らないこと。
事前の気象予報はもちろん、緊急時のエスケープ、風が強くて帰れない場合に備えて流されるスピードを抑えるパラシュートアンカーの装備、携帯電話をしっかりと身につけて救助を呼べる体制作り、しっかりとパドリング技術を身につけておくことなど、きちんとした対策を怠らないことです。
そしてそれでも完全な安全はありません。これは海に出るに限らず、すべてのアウトドアアクティビティーにおいて言えることです。おかっぱりからの釣りでも同様です。

どんな状況下においても絶対に生き延びる準備と対策を行った上で大自然の中に身を置いて遊ぶ。
このことは " 生まれてきた価値、生きている意味 " を与えてくれます。
だから " 危ないからやめよう " と安直に考えず、自己の責任において徹底した準備を行いましょう。
間違えなく、釣り人としての人生を豊かにしてくれます。
安全第一に楽しみましょう!!

 

 

  
漁筏 - tsuribune - はパックラフトフィッシングの専門ブランドです。
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ではまた。