インフレータブルボートは何年使える?

 

海釣りで使用されるもっともメジャーなインフレータブルボートは、二馬力ゴムボートとSUPでしょうか?
強靭な引き裂き強度を持った、極めて高い圧力に耐えられるPVCと言う素材が使用されています。PVCの最大のメリットはドロップステッチ構造が作れることにあります。
ドロップステッチ構造とは、生地と生地の間を何万本もの細い糸で骨組みを作り、空気圧を高めても丸く膨らまずに板状の形状を保つ事ができる縫製技術を言います。これにより、SUPや二馬力ゴムボートのフロアは空気なのに高い剛性を持った板形状にする事ができるのです。

フロアに立ち上がる事ができるほどの剛性は他の素材では作る事ができません。PVCならではの特性です。

 

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PVCのデメリットとして、極めて紫外線に弱い点があります。きちんとメンテナンスしないと比較的短期間で写真の様にひび割れて生地が裂けてしまいます。
この為、メンテナンスとして紫外線保護剤を使用しなくてはなりません。

また一般的には接合に接着剤を使用する為、接着剤の劣化によって3-5年程度の寿命になるものがほとんどです。
SUPやボートフロアは短命な宿命でした。

 

 


一方、パックラフトはナイロンTPUと言う異なる素材が使用されています。

元々アラスカの荒野を何年もかけて旅する際の河川の渡渉用に開発されたルーツがあり、夏は20℃程度気温から、冬は -40℃と、1年間の間で60℃もの気象変化があります。
この様な厳しい環境に耐えうる耐久性と、常に背負って歩ける軽量コンパクト性が求められた結果、専用の生地開発が行われました。


TPU(熱可塑性ポリウレタン)コーティングは、極めて軽量ながら擦れに対して強い特性を持つ素材で、ダウンリバーで岩にぶつかったり、川底に擦れたりしても穴が空きにくい強さを持った素材です。接着剤を使用せず、高周波でコーティングを融解させて熱溶着する事で製造しています。

元々は極端な寒暖差に耐えうる製造法として考えられたものですが、接着剤の加水分解が無い事で結果として5~10年程度。適切に管理された物の中では製造から20年以上経っても現役で使用されているものがあるほどに長い対応年数を実現しています。

 

 

ただ近年ではPVCを熱溶着させる技術も誕生し、高級なSUPには採用され始めました。この様な製品の場合、接着剤の劣化がないので、PVC生地本来の寿命である5~7年程度はもつそうです。
また一方で、本来熱溶着させるべきナイロンTPUを、熱溶着させずに接着剤接合させる粗悪な製品もあります。

Amazon などに並ぶ多くのSUPが3~7万円前後なのに、一流ブランドのものは10万円~25万円くらいととても高いですよね?
パックラフトも10万円~25万円くらいのものが一般的な中、なぜか3~7万円程度で買えてしまうものもあります。
この秘密は接合方法です。

接着剤でつけるだけならどこの工場でもできます。特殊な設備も不要なので、かなり低価格に製造する事ができます。一方で熱溶着には特別な設備が必要であり、生地も極めて高額になります。この為、製品価格も高額になります。

SUPに使用されるPVCはその素材特性の関係から接着剤で作る事が一般的であり、低価格な製品だから粗悪品というわけではありません。パックラフトで低価格なものは明らかに粗悪なものが多いので、中華系サイトで安いものを購入するのは避けた方が良いと思います。どちらもだいたい3~5年程度の寿命だと思ってください。

 

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二馬力ゴムボートのチューブ部分は必ずしもPVCである必要がない為、一部の高級モデルではCSM(ハイパロン)と呼ばれる合成ゴムを使用したものもあります。
紫外線劣化に極めて強く、とても長い対応年数を誇ります!

欠点としてはものすごく重くなります。

もうね、とんでもなく重い。
この為、一般には救助用、軍用に使用され、民間用は一部の高級ボートに限って使用されます。

 


こうやって考えると、パックラフトに使用されるナイロンTPUは、軽くて耐候性も高く、対応年数も高い、実に優秀な素材です。ではなんでSUPや二馬力ゴムボートでは使用しないのでしょうか?

それは内圧を高める事ができないからです。

内圧を高められないとその上に立つ事ができません。足元がふわふわして不安定です。
SUPはスタンドアップパドルボート。そもそも立てなきゃ遊びとして成り立ちません。
二馬力ゴムボートは船内がそれなりに広く、船内を中腰で移動します。やはり剛性が無いと不安定で危険です。
パックラフトの場合はカヤック同様、着座位置から大きく動くことはありません。立ち上がれるほどの剛性がなくても、水圧に負けない程度の剛性があれば良いので、ナイロンTPUが使用できます。

 

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ではどう選べば良いでしょうか?

まず分かりやすいのは二馬力ゴムボートです。
漕がずにエンジンの力でパワフルに進みたいなら、カヤックやSUP、パックラフトなどのパドルボートは選択肢から外れるでしょう。
その代わり、エンジンの運搬管理、重量の重さなど、手軽ではなくなります。また手漕ぎでの進みは圧倒的に悪いので、エンジン故障時は危険です。

 


SUPとパックラフトは同じインフレータブルパドルボートなので、選択が悩ましいところです。
SUPの最大のメリットは漕ぎが軽いこと。実は結構スピードが出ます。凡そ4-5km/hくらいでスムーズに進みます。その分、重量はパックラフトと比較してかなり重く、収納サイズも大きいです。膨らませるのも現実的には電動ポンプを使用するべきで、車からの電源供給が求められます。
つまり現実的には、駐車場から近い場所からのエントリーとなります。

 

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パックラフトはもっと圧倒的に軽量コンパクトで、重量は2~5kg程度。収納サイズも遥かに小さくなります。

膨らませるのも、小さく折りたためるポンプサックを使用し、ほんの数分で膨らませられます。
駐車場から遠く離れた場所まで徒歩で移動してエントリーしたり、電車やバスなどの公共交通機関でアクセスしたり、機材を限定すればオートバイや自転車でのマイボートフィッシングも楽しめます。
この手軽さがパックラフトの最大の魅力です!

 


また一時安定性が高く、カヤックやSUPよりも転覆リスクが遥かに低くなります。二馬力ゴムボートに比べるとやや劣りますが、モーターボートの引き波でもほとんど怖さを感じることはありません。
まぁ、海岸の大きな波では油断するとひっくり返されますが^^;

デメリットとしては、カヤックやSUPと比較して遅く、漕ぐのも大変です。

パックラフトの速度は概ね3~4km/h。一見すると時速1kmしか差がない様に感じますが、実際には20~30%も速度さがあるわけです。かなりの差です。
パックラフトはパドルフィッシングボートの中ではマイノリティな存在で、SUPやカヤックで釣りをする人の方が多いので、他の釣り仲間と沖に出る時に置いていかれがちです。ここがパックラフトの大きなデメリットです。

 


ただパックラフト用の水中ジェットモーターなんかも存在します。これを使えば、一番出力の弱い高燃費なローギヤモードでも、漕がずに 3.5km/h、パドリングを加えれば 5km/h とSUPやカヤックがちょっと一生懸命漕いでるのと同程度の速度で移動できりゃいます。

しかもパドリングはめちゃくちゃ楽になります。
感覚的には電動アシスト自転車で緩やかな坂道を登るのに似ています。アシスト無しではすごく大変ですが、アシストを入れた瞬間にとても軽く、快適になります。
もちろん二馬力ゴムボートの様なパワーはありませんが、遅さのデメリットはモーターで完全に打ち消せます。

 

 

まぁパックラフト屋さんの記事なんで、若干パックラフト押しな内容ではありましたがw
それぞれにメリット、デメリットはあります。

2馬力ボートもパワフルで良いですし、SUPのスタイリッシュさにも魅力を感じます。
でもパックラフトの軽量コンパクト性はやっぱり魅力で、場所に縛られない自由さは圧倒的。
それに車を所有していない友人にも勧めやすいし、車で行くにしても車内を圧迫しないのはすごく魅力です。

軽自動車で4人分の舟積んで釣りに行けるの、ヤバくないですか!?
飛行機で沖縄にまで持って行って、マングローブの森を散策するのとか、めちゃくちゃ楽しかったですよ。
こんな事ができる自由度の高さに、僕は魅了されています。

 

 

 

僕たち 漁筏 - tsuribune - のパックラフトの中では、海釣りに使うなら " 大鯛 - Seabream -" がおすすめ!

セルフベイラーと言う自動排水システムが搭載されているので、波を被っても内部に水が溜まらず、勝手に水が出ていってくれます。
チューブ内には隔壁があり、仮に釣り針や魚のヒレで穴が空いても沈没しません。
船首が跳ね上げられており、大型船の引き波でも余裕を持って乗り越えることができます。

海での釣りを徹底的に考えて設計開発しているので、他のパックラフトと比較して圧倒的に海釣りがやりやすいはずです。各社様々な商品がありますが、これからパドルボートフィッシングを始めるなら、漁筏 - tsuribune - のシーブリームはおすすめですよ!

 

ではまた。